日本の非正規雇用格差と是正世論
「頑張って働いても正社員にはなれない」「待遇が違いすぎて生活が苦しい」──そんな声が日本中で広がっています。非正規雇用は今や労働者の約4割を占め、日本はかつての「中流社会」から大きく様変わりしました。
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日本の非正規雇用格差と是正世論 |
非正規雇用の現状と拡大の背景
総務省の労働力調査(2024年)によると、非正規雇用者は約2,100万人。労働者全体の約39%を占めています。特に以下のような人々が中心です。
- 女性(パート・派遣)
- 高齢者(再雇用・契約)
- 若者(フリーター・インターン)
非正規雇用の増加は、1990年代の「構造改革」や2004年の労働者派遣法改正が大きな転機でした。企業のコスト削減を名目に、正規から非正規への置き換えが急速に進みました。
非正規の待遇格差──同じ仕事なのに給与が違う
非正規と正規で月給ベースで10万円以上の差が出るケースも珍しくありません。また、ボーナス・退職金・社会保険・昇進の機会など、制度面でも差別的な扱いが横行しています。
これに対して、2020年の「同一労働同一賃金」制度が導入されましたが、正規との格差は解消されていないとの声が多く上がっています。
具体的な格差の例
- 大手スーパー勤務:正社員→月収25万円、ボーナス年2回/非正規→月収15万円、ボーナスなし
- 保育士や介護士:非正規は責任は同じでも昇給制度なし
- 大学の非常勤講師:授業単位で給与が決まり、交通費が出ない場合も
世論の声:格差是正を望む国民
世論調査(2023年~2025年)
- NHK(2023年): 「非正規と正規の格差を是正すべき」…79%
- 読売新聞(2024年): 「非正規の待遇に不満を感じる」…61%
- 朝日新聞(2025年): 「正社員化を進めるべき」…68%
つまり国民の多数が格差是正を求めているにもかかわらず、政府の対応は極めて限定的で、むしろ非正規化を容認する姿勢すら見受けられます。
市民の動きと提言
- POSSE(労働NPO): 非正規の待遇改善を訴える相談活動・裁判支援
- 連合(労働組合): 正社員化支援の法整備と「生活賃金」の導入を提言
- Change.org: 非正規公務員の待遇改善を求める署名が10万筆以上
また、大学講師・介護・保育分野の当事者による集団訴訟やネット署名運動が活発化しており、メディアでも取り上げられるようになってきています。
政策の矛盾と課題
政府は「働き方改革」や「多様な働き方の容認」を打ち出してきましたが、実態は企業に都合の良い非正規拡大政策であるという指摘も多いです。
特に、育児や介護といった理由で「非正規を選ばざるを得ない」人々に対しては、生活保障や職場支援が十分に行われていないのが現状です。
私たちにできること
- 職場や地域での声を可視化する(SNS、相談窓口)
- 非正規当事者を支援する団体に参加・支援
- 待遇改善に取り組む政党・候補者を選挙で支持
結論
非正規雇用の拡大と待遇格差は、「自己責任」で片付けられるべき問題ではありません。構造的・制度的な欠陥がある以上、それを正すのは政治の責任です。
多くの人が声を上げ、支援を広げることで、この民意無視の雇用政策に対し、変化を促すことができるはずです。
出典・参考文献総務省「労働力調査」(2024年)
NHK 世論調査「雇用と格差について」(2023年)
読売新聞「非正規雇用に関する意識調査」(2024年)
POSSE 労働白書(2023~2024年)
日本労働弁護団「非正規差別是正に関する提言」(2024年)
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