日本の選挙制度と公職選挙法違反|衆議院・参議院・地方選挙の違いとは?

2025/07/03

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日本の選挙制度をわかりやすく解説

日本の選挙制度
日本の選挙制度

日本では国政から地方自治体まで様々な選挙が行われています。本記事では、衆議院・参議院・地方選挙の違いや仕組みに加え、公職選挙法違反についても候補者・有権者別に詳しく解説します。


選挙資格について(選挙権・被選挙権)

日本の選挙では、「選挙権(投票する権利)」「被選挙権(立候補する権利)」の2つが存在します。それぞれに年齢や条件が定められています。

選挙権(投票する資格)

  • 満18歳以上の日本国民
  • 選挙人名簿に登録されていること
  • 登録のためには、住民票がある市区町村に引き続き3か月以上居住している必要があります。

選挙別の備考

選挙の種類備考
衆議院議員総選挙全国の18歳以上が対象
参議院議員通常選挙同上
地方選挙(知事、市町村長など)当該自治体に住民票が必要

被選挙権(立候補する資格)

選挙の種類年齢要件その他条件
衆議院議員満25歳以上日本国籍必須
参議院議員満30歳以上同上
都道府県知事満30歳以上当該都道府県在住である必要なし
市区町村長満25歳以上同上
地方議会議員(都道府県・市区町村)満25歳以上当該自治体在住の必要は原則なし

選挙資格が停止される例

  • 禁錮以上の刑に処され、その執行中の者(選挙権・被選挙権ともに停止)
  • 公職選挙法違反等で公民権停止中の者
  • 後見開始の審判を受けている者(一定の条件下で制限される場合あり)

国政選挙(衆議院・参議院)

衆議院の特徴

  • 「政権を決める院」:与党が過半数を取れば、内閣総理大臣を指名できる。
  • 「スピード感」重視:任期が短く、世論の変化を反映しやすい。
  • 「解散あり」:総理大臣の判断で解散・総選挙が行われる。
  • 「内閣不信任決議」が出せる → 政権交代のきっかけになる。

● 衆議院議員総選挙

  • 任期:4年(解散あり)
  • 定数:465名(小選挙区289名、比例代表176名)
  • 選挙制度:小選挙区+比例代表(ブロック別)
  • 特徴:政権交代に直結する重要な選挙

参議院の特徴

  • 「熟議の府」:任期が長く、慎重な政策審議ができる。
  • 「解散がない」:政局に左右されにくく、安定している。
  • 「半数改選制」:一度に全議員が入れ替わることがない。
  • 「専門性」:学者、芸能人、元官僚など多様な人材が出馬しやすい。

● 参議院議員通常選挙

  • 任期:6年(3年ごとに半数改選)
  • 定数:248名(選挙区148名、比例代表100名)
  • 選挙制度:都道府県ごとの選挙区+全国比例
  • 特徴:安定的な政策審議を担う院、解散なし

地方選挙

● 都道府県知事選挙

  • 任期:4年
  • 直接選挙で選ばれる地方自治体のトップ

● 都道府県議会議員選挙、市区町村議会・市長選など

  • 任期:4年
  • 議会議員は地元の代弁者として政策立案
  • 市区町村長は地域行政の責任者

衆議院と参議院の違い(比較表)

項目衆議院参議院
定数465人248人
任期4年(解散あり)6年(解散なし・半数改選)
被選挙権25歳以上30歳以上
主な役割政権を担う政策審議・チェック
優越の有無あり(衆議院の優越)なし

衆議院はスピードと変化、参議院は安定と熟議。 二院制により、バランスの取れた政策運営が目指されています。

衆議院の「優越」とは?

以下のような場面で、衆議院の決定が優先されます:

  1. 法律案の議決:両院で異なる結論 → 衆議院が再可決すれば成立

  2. 予算の議決:衆議院が先に審議し、決定権も上

  3. 条約の承認:衆議院が優先

  4. 内閣総理大臣の指名:両院で異なる場合 → 衆議院の指名が優先


選挙に出馬する際の費用とは?

選挙に立候補するには、相当な費用がかかります。特に「供託金」は立候補時に必ず納める必要があり、一定の得票を得られなければ没収されます。そのほかにも、事務所、宣伝、人件費など多岐にわたる出費があります。

① 供託金(立候補時に納める費用)

選挙の種類 供託金の金額 備考
衆議院(小選挙区)300万円比例重複立候補の場合、別途600万円必要
衆議院(比例代表)600万円政党がまとめて供託
参議院(選挙区)300万円得票率10%未満で没収
参議院(比例代表)600万円政党提出、個人不可
都道府県知事300万円得票率10%未満で没収
市区町村長50万円比較的少額
地方議員(市区町村議会など)30万円最も低額

② その他の選挙運動費用

費用項目 概算金額 備考
選挙事務所の設置費30万〜100万円以上賃貸料・光熱費など
人件費(運動員・スタッフ)数十万〜数百万円ボランティア扱いだが実費がかかる
ポスター・印刷物費50万〜150万円ビラ、選挙公報、ポスターなど
街宣車・スピーカー等30万〜100万円以上レンタル代、運転手代、燃料費
SNS・WEB広告など数万円〜上限なし動画編集や広告出稿など

③ 公費負担制度(一部費用が補助される)

一部の選挙では、ポスターの印刷費や掲示場への貼付費用、選挙公報作成費用などが公費で負担される制度があります。
ただし、一定の得票率(例:10%以上)を下回ると、公費補助の対象外となります。

まとめ:出馬にはいくらかかる?

選挙の種類概算総費用
市区町村議員選挙100万円〜300万円
都道府県議会議員300万円〜800万円
市長・町長選挙500万円〜1000万円
衆議院・参議院選挙1000万円〜2000万円超

特に無所属や新人の場合、政党からの支援がないため全額自己負担になるケースが多く、出馬には大きな経済的リスクが伴います。
しかし、目立ちたい、思い出づくり、など安易に出馬できる「公職選挙法」も考えものです。


公職選挙法違反について

候補者側の主な違反

  • 買収:現金や物品の提供で投票依頼(例:現金、商品券、ビール券など)
  • 供応:飲食の提供(例:集会での酒・食事接待)
  • 戸別訪問の禁止:家々を直接訪ねるのは違法
  • 広告宣伝の制限:ビラ・ポスターの数や規格を超える宣伝は禁止
  • 虚偽表示:経歴詐称や他人になりすます行為
  • 投票日当日:陣営スタッフが「◯◯候補に投票をお願いします」
  • 投票日当日:候補者が「投票日です。皆さんの意思を示しましょう(候補名なし)」

有権者側の違反

  • 買収の受取:現金・物品を受け取って投票すると違法
  • なりすまし・二重投票:重大な不正行為
  • ネットでの誹謗中傷:公選法の対象になることも
  • 顔にヒゲを描く、目線を入れる、文章を加筆:選挙の自由妨害
  • ポスターを破る、剥がす、上から別の紙を貼る:器物損壊罪
  • 演説者の声をかき消すような大声のヤジ・罵声:選挙の自由妨害
  • スピーカーやメガホンを使って妨害:選挙の自由妨害
  • 故意に怒鳴り続けたり、接近して威圧・脅迫的に振る舞う:選挙妨害罪

主な罰則

違反内容罰則の例
買収3年以下の禁錮または50万円以下の罰金
供応2年以下の禁錮または30万円以下の罰金
公民権停止一定期間、選挙権・被選挙権の停止

選挙運動と政治活動の違い

  • 選挙運動:特定の候補者に「投票を依頼」する行為 → 選挙期間中のみ合法
  • 政治活動:政党の広報活動、支援者との交流など → 通年で可能(ただし制限あり)

まとめ

日本の選挙制度は民主主義の根幹をなす重要な仕組みですが、近年ではその公正さや信頼性に対して懸念の声も聞かれます。候補者・有権者の双方が公職選挙法を厳格に守ることこそが、選挙の公平性と国民の信頼を確保するために欠かせません。

参考文献・資料
総務省|選挙の仕組み
e-Gov法令検索|公職選挙法(昭和25年法律第100号)
総務省|よくある選挙Q&A
中野区選挙管理委員会|選挙運動と政治活動の違い
NHK選挙Web(衆議院・参議院選挙の過去結果・制度概要)
人事院|参議院議員の選出・任期などの制度
※内容は2025年7月現在の情報に基づいています。最新の法改正や選挙制度変更がある場合は、各公式サイトをご確認ください。

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