偏向報道とメディア・リテラシー:客観的なニュースを求めるために

2025/04/10

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偏向報道とメディア・リテラシー:客観的なニュースを求めるために

放送法第四条
放送法第四条

報道番組に求められるものとは

私たちが普段目にする報道番組。そこでは、ニュースが客観的に、事実だけを伝えることが求められています。日本の放送法第四条には、放送事業者が守るべきルールが明確に定められています。具体的には、「政治的に公平であること」「報道は事実を曲げないですること」とされています。つまり、視聴者に偏った印象を与えるような情報操作や、主観的で恣意的な報道はあってはならないのです。

しかし、現実はどうでしょうか。多くの報道番組では、情報操作された偏向報道や印象操作が横行しています。専門家の推測や憶測、さらには専門外のゲストによる無責任なコメントが飛び交い、スタジオでの一方向な感想が垂れ流されることも少なくありません。これらは視聴者が自分で考える妨げになるだけでなく、事実を純粋に知りたいというニーズを裏切るものです。

本来、報道とは「出来事だけを客観的に伝える」ものであり、その上で視聴者が各自で判断を下すべきです。余計な意見や感想、雑念は一切不要。むしろ、それらは邪魔でしかないのです。

放送法の限界と罰則の曖昧さ

放送法第四条に違反するような報道が行われた場合、罰則はあるのでしょうか?実はここに大きな問題があります。学説や通説では、「誰が違反を判定するのか」が明確に定まっていないのです。放送法自体にも、具体的にどのような場合に“停波”などの処分が下されるのか、事例の列挙はありません。さらに、電波法第七十六条によって、放送の停止運用や免許の取り消しが実質的にできないとされています。

つまり、法的な枠組みはあるものの、それが機能していないのが現状です。違反があっても具体的な罰則が適用されないため、放送事業者は好き勝手な報道を続けられる状況にあるのです。

視聴者側の責任とメディアの現実

こうした状況の責任は、メディア側だけにあるわけではありません。私たち視聴者にも責任の一端があります。テレビは時に「洗脳装置」とも称されるほど強力な影響力を持ちます。そしてメディアは企業であり、スポンサーや親会社の意向を反映した番組作りがなされることも珍しくありません。利益を追求する企業としての側面が、報道の公平性や客観性を損なう要因となっているのです。

にもかかわらず、多くの視聴者はメディアから流れる情報をそのまま受け取り、事実かどうかを検証することなく信じてしまいます。これは、私たちに「メディア・リテラシー」が欠けていることを示しています。

メディア・リテラシーとは何か

メディア・リテラシーとは、メディアから得た情報を鵜呑みにせず、自分で見極めるスキルのことです。報道された内容が事実なのか、偏りがあるのか、あるいは意図的な印象操作が含まれているのか。それらを自分で考え、必要であれば裏付けを取ることが求められます。

たとえば、ニュースで取り上げられた出来事について、複数の情報源を参照したり、一次資料を確認したりする習慣を持つこと。それがメディア・リテラシーを高める第一歩です。メディアの情報をそのまま受け取るのではなく、自分の頭で考える癖をつけることが重要なのです。

まとめ:客観的な報道と私たちの役割

報道番組は、視聴者に事実を伝え、考える材料を提供する存在であるべきです。しかし、現在のメディア環境では偏向報道や情報操作が目立ち、放送法の理念が形骸化しているのが現実です。一方で、法的な罰則が機能していない以上、メディアを正すのは簡単ではありません。

だからこそ、私たち視聴者一人ひとりがメディア・リテラシーを身につけ、情報を主体的に見極める姿勢が求められます。客観的な報道を求めるなら、まずは自分自身が受け身の視聴者から脱却し、考える視聴者になることが大切です。メディアに振り回されず、真実を見抜く力を育てていきましょう。

出典・参考文献
総務省.(2010)『放送法(昭和25年法律第132号)』.
https://www.soumu.go.jp/main_content/000553144.pdf
 ※特に第四条「報道の公平性」について参照。
日隅一雄(2012)『メディアに操作される憲法』岩波書店
 ※放送法の限界や報道の恣意性についての指摘がある。
石田英敬 編(2008)『メディア・リテラシーを学ぶ人のために』世界思想社
 ※視聴者側の主体性と情報の読み解き方を解説。
NHK放送文化研究所(2021)「テレビと政治報道の距離感」『放送研究と調査』第71巻第5号
 ※日本における報道の客観性と現実的課題についての調査。
大石裕(2006)『メディアと権力——政治とジャーナリズムの関係』有斐閣
 ※スポンサー、企業体としてのメディア構造を深掘り。
高田昌幸(2013)『メディアの罠 報道しない自由と偏向報道』講談社現代新書
 ※偏向報道の実例や内部事情に言及。
久保田裕之(2014)「放送法における『公平』概念の再検討」『情報通信政策レビュー』Vol.10
 ※法律運用上の曖昧さと政治的介入リスクを指摘。
UNESCO(1984)『Many Voices, One World(マクブライド報告)』
 ※国際的な報道の公平性とメディア倫理の古典的資料。

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