SNSの「ネットいじめ」とは?その特徴と対処法
他人のSNSライフを“言語”で脅かす迷惑者 SNSの「ネットいじめの当たり屋」とは?その特徴と対処法
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SNSの「ネットいじめ」とは?その特徴と対処法 |
2022.06.11 再投稿
SNS上には、まるで害虫の「イエバエ」のように鬱陶しく、どこにでも現れる迷惑な存在がいます。それが「ネットいじめの当たり屋」です。奴らは他人を不快にさせたり、トラブルを引き起こしたりすることを目的に活動し、周囲に迷惑をかけることが特徴です。今回は、そんな「当たり屋」のタイプや特徴、そして被害に遭った場合の対処法を詳しく解説します。
「ネットいじめ」のタイプと特徴
1. かまちょ(構ってちゃん)
- 特徴 とにかく誰かに相手をしてほしいという強い欲求を持つタイプ。自分のわがままを満たすためなら、迷惑行為も平気で行います。
- 行動 周囲の注意を引こうと、被害者ぶった態度をとったり、嘘をついたり、悪口を言ったりします。例えば、「自分がいじめられている」と大げさに騒いで同情を誘うことがあります。
- 心理 寂しがり屋で承認欲求が強く、注目されないと我慢できない傾向があります。
2. ネット弁慶
- 特徴 現実では小心者なのに、ネット上では強がって振る舞うタイプ。自分の弱さを隠したいがために攻撃的になります。
- 行動 些細なことに難癖をつけて他人を侮辱したり、中傷したりします。例えば、他人の投稿に「ダサい」「頭悪い」とコメントを残してマウントを取ろうとします。
- 心理 ネットの匿名性を盾に、現実では言えないことを言って自己主張します。
3. ネットストーカー
- 特徴 執拗に嫌がらせを繰り返すタイプで、ターゲットに精神的な苦痛を与えることを楽しんでいる場合も。
- 行動 DM(ダイレクトメッセージ)で卑猥な画像を送りつけたり、引用リツイートで本人に気づかれないように陰で嫌味を言ったりします。
- 心理 ターゲットへの執着心や支配欲が強く、相手が困る姿を見て満足感を得ます。
4. なりすまし
- 特徴 他人のアカウントを真似て、パロディと称して迷惑行為を行うタイプ。
- 行動 対象のアカウントそっくりの偽アカウントを作り、本人のツイートを歪めて投稿(ツイパク)したり、侮辱的な内容を発信したりします。
- 心理 注目を集めたい、または対象を貶めたいという意図があります。
5. 釣り
- 特徴 挑発的な発言で他人を怒らせ、反応を楽しむタイプ。
- 行動 わざと炎上するような投稿をして相手を釣り、屁理屈を並べて馬鹿にします。例えば、「お前らってほんと頭悪いな」と煽って反応を待ちます。
- 心理 相手がムキになるのを見て優越感に浸りたいという動機があります。
「ネットいじめ」の共通する特徴と手口
- レッテル貼りと拡散 自分と異なる意見のツイートを見つけると、「こいつは〇〇だ」と決めつけてレッテルを貼り、リツイートやハッシュタグで仲間内で共有します。
- 複数アカウントの利用 鍵付きアカウント(非公開アカウント)などを使い、陰湿な嫌がらせを繰り返します。
- Twitterルールの悪用 「通報」を呼びかけて対象のツイートを削除させたり、最悪の場合、アカウントを凍結に追い込みます。
- 勝利宣言 ターゲットのツイートが削除されたりアカウントが凍結されると、「勝った!」と喜び合う傾向があります。
SNSの仕組みを悪用した迷惑行為の手口
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インターネットトラブル事例集 |
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インターネットトラブル事例集 |
SNSは気軽に発信できる反面、匿名性や拡散力が高いため、「ネットいじめ」にとって格好の遊び場となっています。彼らは次のような手口を使います。
- 匿名アカウントで攻撃 本垢とは別に捨て垢を作り、追跡されにくい状態で嫌がらせ。
- 集団での連携 仲間内でターゲットを囲み、一斉に攻撃することで圧力をかける。
- ルールの隙間を突く Twitterの「スパム報告」や「違反報告」を悪用し、正当な投稿を削除させる。
被害に遭ったらどうすればいい?
「ネットいじめ」に絡まれた場合、感情的にならず冷静に対処することが大切です。以下に具体的な手順を紹介します。
- 証拠を残す
- 嫌がらせの投稿やDMを見つけたら、すぐにスクリーンショットを撮って保存してください。後で削除されても証拠が残ります。
- 挑発的なメッセージにも我慢して反応せず、スクショを撮っておきましょう。
- 関わらない
- 相手はあなたが反応すると調子に乗ります。ブロック機能を使って距離を置きましょう。
- 無視が一番効果的です。相手が飽きて別のターゲットに移る可能性もあります。
- 監視と証拠集め
- 新しいアカウントを作り、相手の動きをこっそり監視するのも一つの手です。
- Twitterの鍵付きリスト活用法 Twitterでは「リスト」機能を使えば、フォローせずに相手を登録して投稿をチェックできます。非公開の「鍵付きリスト」にすれば相手にバレません。
「当たり屋」は許される行為ではない!
SNSでの嫌がらせは、単なる「いたずら」ではありません。場合によっては法的な問題に発展する可能性もあります。被害に遭ったら、自分に合った解決策を見つけましょう。時には手段を選ばず行動することも必要です。
権利侵害への対応と相談先
インターネット上の権利侵害とは?
SNSやウェブ上で、以下のような行為に遭遇することがあります。
- プライバシー侵害: 個人情報(住所や顔写真など)が勝手に公開される。
- 名誉毀損 根拠のない悪口や嘘で評判を傷つけられる。
もしこのような被害に遭ったら、次の手順で対応できます。
削除依頼の方法
- サイト管理者への連絡
- 被害を受けた本人や代理人(未成年なら親、または弁護士)が、サイトの管理者や運営会社に削除を依頼できます。
- 具体的な手続きはサイトごとに異なるので、まず該当サイトの「お問い合わせ」ページを確認してください。
- 相談窓口を利用
- 手続きがわからない場合は、以下の機関に相談してみましょう。
- 違法・有害情報相談センター ネット上の違法・有害情報に関する相談を受け付け、アドバイスや情報提供を行います。
- 法務省 インターネット人権相談窓口 相談フォームに必要事項(氏名、住所、相談内容など)を入力すると、最寄りの法務局から回答がもらえます。
- 厚生労働省 まもろうよ こころ 精神的な悩みや不安を抱えた場合に気軽に相談できる窓口です。
法的手段を検討する場合
民事訴訟(誹謗中傷・名誉毀損)
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民事訴訟 |
SNSで誹謗中傷を受けた場合、加害者を特定して訴えることが可能です。その流れを簡単に説明します。
- 発信者情報の開示請求
- プロバイダ責任制限法に基づき、SNS運営会社やネットプロバイダーにIPアドレスの開示を求めます。
- 個人で請求するのは難しく、通常は弁護士に依頼して裁判所に訴えを起こします。
- 具体的な手順と期間
- ステップ1: SNS運営会社への開示請求: IPアドレスを開示してもらうのに約2~3ヶ月かかります。
- ステップ2: 通信会社への開示請求: IPアドレスから氏名や住所を特定するのに約6ヶ月かかります。
- ステップ3: 発信者特定から裁判開始: 特定までに約1年、裁判が終わるまでさらに約2年ほどかかる場合があります。
- 費用と現実
- 弁護士費用は自己負担で、数十万円以上かかることが一般的です。
- 裁判で勝っても、賠償額は少額(数万円~数十万円程度)に留まることが多く、相手に支払い能力がなければ回収できない場合もあります。
- 結論: 時間とお金を犠牲にしてでも名誉回復が必要な場合に有効な手段です。
警察への相談
以下の犯罪に該当する場合は、すぐに警察に相談しましょう。
- 名誉毀損 事実無根の悪口で評判を傷つける。
- 侮辱 公然と人を侮辱する。
- 脅迫 「殺すぞ」などの脅し文句。
- 業務妨害 営業や活動を邪魔する行為。
相談先 最寄りの警察署。証拠(スクショなど)を持参するとスムーズです。
まとめ
SNSの「ネットいじめ」は、ネットの匿名性や拡散力を利用して他人を困らせますが、適切な対処法を知っていれば被害を最小限に抑えられます。証拠を残し、関わらず、必要なら法的手段や相談窓口を活用しましょう。詳しい情報は弁護士サイトや上記の相談窓口で確認してください。
総務省(2022)『インターネット上の誹謗中傷等への対応に関する調査報告書』
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban18_02000163.html
法務省(2023)『インターネットによる人権侵犯の実態と対応』
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00047.html
プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会(2021)『発信者情報開示に関する手続きとガイドライン』
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/d_syohi/pdf/2103_shiryo1.pdf
警察庁(2023)『サイバー犯罪対策について』
https://www.npa.go.jp/cyber/
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)(2022)『SNSにおけるトラブルとリスク』
https://www.ipa.go.jp/security/keihatsu/sns/index.html
内閣府(2021)『青少年のインターネット利用環境実態調査報告書』
https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/r03/net-jittai/pdf_index.html
森下知子(2018)『インターネット上のいじめと法的対応:SNSの特性をふまえて』
『情報通信政策研究』第24巻第1号
高橋英彦(2020)『名誉毀損とネット上の誹謗中傷問題 ―法的保護の限界と課題―』
『法と情報』第14巻
一般社団法人セーファーインターネット協会(2023)『ネットいじめ・誹謗中傷に関する実態調査』
https://www.saferinternet.or.jp/
高木浩光(2017)『匿名性とSNS:ユーザ行動の心理的要因に関する分析』
『情報処理学会論文誌』Vol.58
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