フェイクニュースとインフルエンサーの罠:なぜ誤情報が拡散するのか
匿名インフルエンサーと誤情報の拡散
![]() |
influencer |
XなどのSNSを見ていると、フォロワー数が万単位(万垢)に達する匿名アカウントが散見されます。そうしたアカウントの中には、エビデンスのない誤った情報をポストするものも存在します。驚くべきことに、そのようなポストに対して多くのフォロワーが賛同し、リツイートやいいねで拡散してしまうケースが後を絶ちません。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?これも何らかの工作の一環なのでしょうか?
数多くの匿名インフルエンサーが存在する中で、すべてが誤情報を流しているわけではありません。しかし、一部アカウントが意図的に、あるいは無意識にフェイクニュースを広めてしまうことが問題となっています。Xではコミュニティノートという仕組みで誤情報対策を行っていますが、それでも拡散を完全に防ぐのは容易ではありません。たとえば、10回のポストのうち1回だけ誤情報を混ぜたとしても、それが瞬く間に拡散されてしまうのです。
フェイクニュースが広まりやすい理由
調査によると、フェイクニュースにだまされる人の割合は75%以上にのぼるとされています。この背景には、人間の「同調性」が大きく影響している可能性があります。他人の意見や行動に流されやすく、特に多くの人が賛同しているように見える情報には信憑性を感じてしまう傾向です。SNSの「いいね」やリツイートの数が多い投稿は、まるで真実であるかのような錯覚を与えてしまいます。
さらに、インフルエンサーにとって「バズる」ことは利益に直結します。注目を集めればフォロワーが増え、影響力が高まり、場合によっては収益化のチャンスも広がるのです。一方で、真実を追求するリアリストが正直に事実をポストすると、逆に叩かれたり炎上したりするリスクがあります。この構造が、誤情報の拡散を助長している一因とも言えるでしょう。
科学的研究が明らかにした拡散のメカニズム
フェイクニュースの拡散メカニズムについては、ペンシルベニア大学ウォートン校の教授が世界規模のリサーチと科学的研究を行い、その結果を書籍として出版しています。この研究によると、真実のニュースが1000人以上に広まるケースは非常に稀ですが、上位1%のフェイクニュースは10万人以上に拡散されるのが当たり前だったそうです。
具体的なデータを見てみましょう。真実のニュースが1500人に届くのにかかる時間は、フェイクニュースの約6倍。また、元のツイートが10回リツイートされるまでに要する時間は、真実のニュースがフェイクニュースの20倍も長いことが分かりました。つまり、フェイクニュースは真実よりも圧倒的に早く、広く拡散する性質を持っているのです。このスピードと拡散力こそが、SNSにおける誤情報の脅威を象徴しています。
どうすればフェイクニュースを見抜けるのか
匿名・記名インフルエンサーの投稿に潜む誤情報に振り回されないためには、私たち自身が情報を疑う姿勢を持つことが重要です。たとえば、投稿にエビデンスが示されているか、信頼できる情報源が裏付けているかを確認する癖をつけるだけでも違います。また、コミュニティノートのような仕組みを活用し、他のユーザーが指摘する誤情報に注意を払うのも有効です。
インフルエンサーが利益のために「バズる」投稿を優先する一方で、真実を伝える声が埋もれてしまう現状は変えがたいかもしれません。それでも、一人ひとりがフェイクニュースを見抜く力を養えば、誤情報の拡散を少しずつ抑えられる可能性があります。
まとめ:誤情報と向き合うために
匿名・記名アカウントが流す誤情報が拡散する背景には、同調性やSNSの構造、インフルエンサーの利益追求があります。科学的研究からも、フェイクニュースが真実を圧倒するスピードと拡散力が明らかになっています。この状況を打破するには、受け取る側の私たちが賢くなるしかありません。情報をそのまま信じるのではなく、自分で考え、検証する習慣を身につけることが、フェイクニュースの罠から抜け出す第一歩です。
0 件のコメント:
コメントを投稿
コメントはこちらからどうぞ。